研究課題/領域番号 |
02670572
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
長堀 薫 山梨医科大学, 医学部, 助手 (00137035)
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研究分担者 |
三浦 和夫 山梨医科大学, 医学部, 助手 (00221599)
山本 正之 山梨医科大学, 医学部, 講師 (30158307)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 原発性肝癌 / 多中心性発癌 / HBVーDNA / ミトコンドリアDNA / Nm23遺伝子 / RTーPCR法 / トポイソメレ-ス遺伝子 |
研究概要 |
肝細胞癌(以下、肝癌)の悪性度として本研究では癌細胞の増殖速度と転移能について分析を行なった。増殖に関わる因子としてトポイソメレ-ス遺伝子、ミトコンドリア遺伝子(mtDNA)、また転移に関わる因子としてNm23遺伝子を分析した。〈対象〉研究期間内に標本を採取し得た肝切除症例は45例で、内訳は肝細胞癌(以下、肝癌)35例、転移性肝癌6例、胆道疾患に伴う肝切除4例であった。本研究の対象である肝癌症例は男女比31:4、平均年齢は61.5歳であった。〈方法〉(1)DNA:肝癌13例より抽出したDNAからフィルタ-を作成した。1)トポイソメレ-ス遺伝子、Nm23遺伝子に相同なオリゴシンセティックヌクレオタイドを合成、プロ-ブとしサザンブロットハイブリダイゼ-ション反応を行った。2)mtDNAはチトクロ-ム酸化酵素をコ-ドする領域の変異について、PCRにより増幅後RFLP分析した。(2)RNA:1)標本より塩化セシウムによる超遠心法でRNAを抽出した。2)Nm23遺伝子、βーactin遺伝子に相同なsense、antisense primerを作成、RTーPCR法に増幅した。3)増幅したDNAをポリアクリルアミドゲル電気泳動し目的とする大きさのバンドの濃度をdensitometerで測定した。〈結果〉(1)トポイソメレ-ス遺伝子、Nm23遺伝子は癌部で非癌部と比べ増幅は認められなかった。また検索した範囲でmtDNAに、癌部と非癌部でバンドの大きさに変化はなかった。(2)PCRではNm23遺伝子は22ー30サイクルで、βーactin遺伝子は20ー28サイクルでexponential curveを描いて増幅し25サイクルで反応を行い検討した。(2)Nm23遺伝子の発現をβーactin遺伝子の発現量で補正したrelative density unitは正常肝で1.23±0.35(n=4)、肝硬変非癌部で0.78±0.44(n=6)、肝癌部で1.38±0.59(n=7)といずれの群間にも有意差はみられなかったが、肝癌のうち肝内転移陽性例は陰性例と比べ低い傾向にあった。〈結論〉Nm23遺伝子の発現の解析は肝癌の転移能の把握に有用である可能性がある。
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