研究概要 |
本研究は、ストレス潰瘍発生には胃粘膜微小循環障害が大きな因子の1つといわれている。そこで、粘膜微小循環障害が起こると、粘膜組織内が酸素欠乏状態となり、組織内Xanthlne dehydrogenase(XD)がXanhtine Oxidase(XO)に過激に反応し、この時の反応生成物としてラジカルが異常に生成され、このラジカルにより粘膜の組織障害が起こり、ストレス潰瘍が発生するとの仮設をたてた。ラジカルの発生量をプリン代謝のHypoxanthine・Xanthine・尿酸(Uric acid)の組織内量を測定することにより、知ることができないかと考えこの実験を始めた。平成3年度は、組織内のHX,Hの測定が出来ないかと、分析技術の開発に勤めた。その結果、組織をポッタ型ホモジナイザ-にて粉砕後、除蛋白抽出液を作成し、尿酸は高速液体クロマトグラフィ-電気化学検出法により、HX・Xは高速液体クロマトグラフィ-紫外線検出法にて測定出来るようになった。そこで、Wistarラットを使用し高木と岡部の水侵拘束法に準じてストレス負荷を行い、負荷後1,3,5,8時間の胃体部・幽門部での胃粘膜内、筋層内のHX,X、尿酸の組織内量を測定した。その結果、1、3時間とHX,H、尿酸とも低下傾向を認め、3時間ではHXが著明に低下した。ストレス負荷後5時間が経過するとHX,X,尿酸とも上昇傾向を認めるようになる。ストレス負荷後8時間後になると、尿酸の上昇はさらに著明となる。しかし、胃体部粘膜では、HX,Xの上昇は5時間後とそれ程変わらず、幽門粘膜でもXの上昇は変わらないが、HXは逆に低下する傾向がみられる結果とXと同様に変わらない傾向の2つの反する結果が出ており、HX,X,尿酸値の変動よりラジカルを証明することに苦労しているのが現状であるが、分析法の改善と症例を増すことに努力し、我々の立てた仮説が正しいことを証明すべく努力しているのが現状である。
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