研究分担者 |
斎藤 登 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10225724)
泉 公成 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50193371)
宮崎 要 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70200152)
中島 清隆 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10188948)
亀岡 信悟 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80101848)
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研究概要 |
1)組織染色:1.大腸癌組織を3種類の方法で固定し、酵素抗体法によりラミニン染色を行なった。凍結切片による固定が最も安定し,アルコ-ル固定がそれに近い安定性を示し,信頼度が高かった。ホルマリン固定は,最も不安定で,信頼性が低かった。3.57例の凍結切片によるラミニン染色でみると,染色性の低い症例13例中7例(53.8%)に肝転移を認め,染色性の高い症例44例中3例(6.8%)よりも有意に高率であった。2)血清ラミニン値:大腸癌症例の末梢血150例(肝転移:28例),門脈血49例(肝転移8例)を用いて,RIA法にて測定した。【結果】1.血清ラミニン値(以下:LN)は,肝転移症例:1.79±0.21,壁深達度ss以上:1.49±0.27,1y(+):1.52±0.30,v(+):1.66±0.25,であり,非肝転移症例:1.35±0.27,深達度pm以下:1.21±0.30,1y(ー):1.27±0.27,v(ー):1.29±0.27と比べ,有意に高値を示した。2.静脈侵襲度に相関して有意に高値を示した(v1:1.52±0.20,v2,3:1.82±0.21)。3.肝転移率は,静脈侵襲程度に相関し,深達度ss以上で有意に高く,LNと同様の傾向を示した。4.肝転移症例,v2v3症例では,門脈血中LNが末梢血よりも高い傾向が見られ(87.5%及び,88.9%)であった。5.以上より,原発巣から遊離したラミニンが門脈を通って肝へ向かい,癌の着床等,肝転移の一助をなし,また同時に肝転移マ-カ-としての可能性が期待できた。6.さらに,cut off値は,重要な予後因子である静脈侵襲との関係からv0群とv1〜3群の判別区分点1.44(判別的中率;72.3%)が適当であると思われた。これにより,肝転移群の96.4%,v2v3症例の100%がカバ-出来た。
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