研究概要 |
1.ヒト膵癌におけるcーerbBー2,Nーmyc,cーmyc癌遺伝子産物に関する免疫組織化学的検討 ヒト膵管癌を対象とし、通常のホルマリン固定、パラフィン切片を作成、以下の癌遺伝子産物に対する抗体、cーerbBー2(Nichirei),Nーmyc,cーmyc(Oncogene Science)を用い免疫組織染色を施行した。cーerbBー2は28%、Nーmycは9%,cーmycは35%の症例で検出された。cーerbBー2は、前年度に検討したestrogen receptor(ER),epidermal growth factorおよびepidermal growth factor receptorとは明らかな関連は認められなかったが、進行した分化型腺癌に高率に見られ、乳癌と同様に膵癌においても予後と関連がある可能性が示唆された。 2.ハムスタ-実験膵癌同種継代移植系における細胞動態の検討 5週齢の雌性シリアンゴ-ルデンハムスタ-に、Nーnitrosobis(2ーoxoprppyl)amine(BOP)10mg/kg・Bw/週を12週間皮下役与し、発生した膵管癌を同系ハムスタ-の皮下に継代移植し、bromodeoxyuridine(BrdU)によるLabeling Index(LI)の検討を行った。各継代腫瘍におけるLIは、初代:18.7%、2代:19.4%、3代:23.3%、4代:25.2%、5代:26.2%と増加する傾向を示し、今後性ホルモン関連物質の推移との関係を検索する予定である。 3.ヒト、ハムスタ-および膵炎自然発症系ラット(WBN/Kob)の正常膵蔵組織におけるERの生化学的測定 ヒト膵臓におけるERの存在が欧州で報告されているが、今回のわれわれの測定では検出されず、ハムスタ-、WBN/Kobラット(膵炎発症前、後とも)も同様であった。それぞれの腫瘍性病変においても検討中である。
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