研究概要 |
当研究の目的はFontan手術術後に,骨格筋ポンプにより心機能の改善が得られるかを明らかにすることである。そのためにまず,平成2年度に単純超低体温下で雑種成犬を用いてFontan手術を施行した。しかしすべて手術中に死亡した。このため平成3年度は手術方法を若干変更した。一つは右心耳と肺動脈を直接吻口していたが,手術困難な場合があり,右心耳と肺動脈を人工血管にてバイパス手術とした。もう一つは心梓生時に強心剤を含み,種々の補助手段を試みたが,現在まで計画した如き慢性犬を重る事はできなかった。このため骨格筋の機械的エネルギ-源としてのポンプ能力を調べる事を研究の主目的とした。現在まで広背筋による補助循環としての研究では,骨格筋を心筋に縫着あるいは巻き付けを試みているが,十分なポンプ効果を得ることはできない。このため広背筋の収縮力を直接にポンプ能力として得る場合のポンプ効果についての研究を施行することにした。まず雑種成犬を用いてその広背筋を下位助骨部で切除する。この広背筋の遠位端を可動性のある支柱に連結する。この支柱をクランク機構にて人工心臓と連結し広背筋の収縮で人工心臓が作動するようにした。トレ-ニングをしない広背筋にて,4時間1.0ー1.4L/minの拍出量を得ることができた。この拍出量は80ー100ml/min/kg,0.010〜0.016watls/kgに相当する。この方法は筋肉収縮力を効率よくポンプ能力として利用できる利点があると考えられた。
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