研究課題/領域番号 |
02670604
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
草川 實 三重大学, 医学部, 教授 (10046336)
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研究分担者 |
水谷 哲夫 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (20115736)
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キーワード | 再潅流障害 / カルシウムイオン / stunned myocardium / ATP / 内皮細胞由来血管拡張因子(EDRF) |
研究概要 |
1、ラット単〓心筋細胞を用いた低温低酸素下24時間保存再潅流実験においてCa^<++>拮抗薬ニカルジピンの心筋細胞保護効果を検討した結果、ニカルジピンの保存液および再潅流液への添加は心筋細胞内カルシウムの増加を抑制し生存細胞数を増加させた。この機序はカルシウムチャンネルブロッカ-と共にCa^<++>ーPDE阻害剤として作用し、cーGMPを増加させることによることを明らかにした。 2、低温保存再潅流時に発生するstunned myocardiumの原因を心筋内高燐酸化合物から檢討するため、MRS裝置を用いラット心を3時間低温浸漬保存、再潅流中の高燐酸化合物を連続測定した。その結果βーATPはβ ATPの回復に有効であった。以上の2つの実験から心臓の長時間単純浸漬保存後のstunned myocardiumの発生機序としてCa^<++>の細胞内蓄積とこれに伴うATP産生障害が重要な因子であり、ニカルジピンはこれらを改善する作用を有することとその作用機序を明らかにした。 3、ラット大動脈リング状標本を用い血管内皮温存群と内皮障害群を作り、低温低酸素下にニカルジピン添加modified KB液中に6〜72時間保存その後KB液にて再潅流を行い、圧トランスジュ-サ-を用い等尺性靜止時張力、phenylephrinによる収縮反応およびacethylcholineによるEDRF性弛緩反応を測定した結果、収縮反応は内皮障害群で平滑筋の傷害による収縮力低下がみられた。内皮温存群はEDRFによる弛緩反応も正常に維持されており、走査電顕にても内皮の配列、形態に著変は認められなかった。從って再潅流障害が内皮細胞に発生するためには血液との接触が重要な因子と考えられる。現在培養内皮細胞、内皮障害血管ストリップ、白血球の組合せでEDRFを指標に再潅流障害と血管内皮細胞の相関について検討を行っている。
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