研究概要 |
埋め込み型補助人工心臓の開発,研究においては各種の電気機械式アクチュエ-タを利用し駆動装置が開発されているが,その駆動法として同期・非同期駆動が考えられている。同期の場合は右室の収縮と補助心臓の駆動を一致させる場合で,生体の心臓と同じである。しかし補助心臓の駆動時に自然心臓の左室も収縮するので,自然心臓にとっては後負荷は増大しており,一時的な左心補助では,カウンタ-パルセ-ションが用いられている。このカウンタ-パルセ-ションでは右室と左心補助心臓とは交互に収縮することになる。短期の補助では後負荷の軽減と冠動脈血流量の増加を目的としたカウンタ-パルセ-ションが適しているが,長期補助あるいは埋め込み型補助人工心臓として使用する場合には肺循環等に影響を来す可能性があるが,そのことは未だ検討されていない。この研究では左室・右室交互収縮方式の肺循環に及ぼす影響を明らかにし,補助人工心臓の長期駆動方式として適当か否かを判定することを目的として,まず成犬を用いて急性期の血行動態について比較検討した。1)成犬用空気駆動式補助人工心臓として日本ゼオン社製の空気駆動式サック型ポンプで容量15mlのものを使用した。2)麻酔下に雑種成犬を用いて、左開胸にて心臓と大動脈を露出させ,上行大動脈に送血カニュ-レを,左心耳に脱血カニュ-レを挿入し,左心補助人工心臓を接続した。この左心補助人工心臓を生体心臓と同期時,カウンタ-パルセ-ション時の血行動態測定,心拍出量測定,肺血流量測定,腎血流量測定を行った。各駆動方式において心房性利尿ホルモン,プロスタグランディン等の心・肺系の血液・ホルモンの測定をおこなっている。
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