1.ニトロソウレア剤耐性ヒトグリオ-マ細胞において、メチル化合物(MTIC)によるニトロソウレア系抗癌剤(ACNU)効果増強を殺細胞効果、姉妹染色分体交換により検索した。 2.MTICの前処置により、濃度依存性にACNUの殺細胞効果は増強され、400μMの濃度のMTIC前処理により、SFー188細胞におけるACNU耐性は解除された。しかし、この増強作用は、ニトロソウレア剤に感受性の高い細胞においては認められなかった。 3.MTIC前処理により、SFー188細胞におけるACNU誘発姉妹分体交換は有意に増加した。これはMTICによるACNU殺細胞増強効果と相関した。 4.MTICにより、SFー188細胞における修復酵素O^6ーアルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラ-ゼ活性を抑制するか検索した結果、300μM濃度により、約40%抑制された。 5.以上から、MTIC前処理により、ニトロソウレア剤耐性細胞のO^6ーAT酵素が抑制され、ACNUの殺細胞効果が増強される機構が示唆された。 6.現在、MTIC前処理後のACNUによるDNA鎖間架橋形成の増強の有無について、アルカリンエリュ-ション法により検索をおこなっている。 7.ヒトO^6ーATのDNAプロ-ベにより、ニトロソウレア剤耐性SFー188細胞および感受性細胞SFー126のmRNAレベルでの遺伝子発現を比較し、MTICにより、それが変化するか検討する予定である。
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