研究概要 |
【目的】ウサギ脳虚血モデルにおけるMRI所見の経時的変化を同定し、TTC、HE染色における実際の脳虚血巣の範囲と比較検討することを目的とした。【方法】雌雄ニュ-ジ-ランド白ウサギ(体重3.5〜4.0Kg)15羽を用い、脳虚血巣はYamamotoらの方法を一部修飾した左側retroーorbital approachにより頭蓋内内頚動脈および中大脳動脈を露出し、凝固、閉塞して作成した。MRI画像は、BRUKER社製BIOSPEC:BMT 24/20,2.34Tesla、動物用核磁気共鳴装置を用い、 ^1HのT_1強調画像としてSE法500〜600/34で、T_2強調画像としてはSE法2034/34,68,102のmulti echo法で撮像した。脳虚血状態作成後、一定時間における(3〜9時間、24時間、3日、1週間、2週間、4週間)MRI所見を各1〜2点で検討したが、T_1強調画像では可能な限りGdーDTPAにより増強法を施行した。また各脳虚血モデルにつき、最終撮像を行った後屠殺し、脳を摘出、TTCにより染色し、脳虚血巣の範囲を同定した。またTTCによる染色後、脳を固定、HE染色を行い、組織所見による脳梗塞の範囲を同定した。以上のMRI所見、TTCおよびHE染色による所見を比較検討した。【結論】MRI所見はウサギ脳の大きさと装置の解像力の問題からか、いずれも境界鮮明な画像は得られなかったが、T_2強調画像においてhigh intensityの像として虚血巣と思われる部位を同定し得た。T_1強調画像においては、GdーDTPAによる増強後はhigh intensityの像として同定されたが、増強前ははっきりとしたlow intensityとしては、認められなかった。MRI上の虚血巣と思われる部位は、TTCやHE染色による実際の脳虚血巣の部位に近似していたが、3時間後の像では実際の像より狭かった。 【結語】ウサギ脳虚血モデルにおいて、虚血後のMRI所見を経時的に同定し、実際の脳虚血巣に近似した像を得た。
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