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1991 年度 実績報告書

パ-キンソン病に対する神経組織の脳内移植による治療

研究課題

研究課題/領域番号 02670637
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

板倉 徹  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40100995)

キーワードパ-キンソン病 / 神経移植 / MPTP / 交感神経節 / 定位脳手術
研究概要

平成2年度、本研究者はサルにMPTPを投与し、実験的パ-キンソン病を作製した後、自家交感神経節を脳内移植してパ-キンソン症状の改善の得られることを実験的に証明した。今年度は1)移植されたサルの長期的観察、2)移植による症状改善の機序の検討を行った。まず移植による症状改善の持続性、移植片の長期生着、移植手術の安全性を検討するため、平成2年度に移植したサル3匹の長期観察を行った。交感神経節の移植により改善を示した3匹のサルではパ-キンソン症状はそのまま消失して行動は正常に回復した。この回復はその後再び悪化することなく2年間持続した。異常行動・痙攣等の重篤な副作用も全く認めなかった。移植2年後に潅流固定し移植片の生着を組織蛍光法で観察すると、移植片は宿主尾状核に生着し、多くのカテコラミン線維も移植片中に観察された。しかし宿主脳内ド-パミン線維の再生像は観察されなかった。この事実は移植された神経節細胞は長期間脳内に生存してド-パミンを宿主脳に放出し続けパ-キンソン症状を改善させていることを示している。また移植効果の機序を喜る目的で移植片からド-パミンが宿主脳内に放出されているかどうかを、脳脊髄液中のド-パミン代謝産物であるホモバニリン酸(HVA)濃度を高速液体クロマトグラフィ-にて測定した。MPTP投与後無動を示すサル脳脊髄液中HVA濃度は徐々に減少を示した。交感神経節の移植によりHVA濃度は急激に増加を示し、一旦減少した後、自発運動の改善とともに増加を示した。この事実は移植された交感神経節からド-パミンが放出された事を示している。
以上の動物実験の結果は頸部交感神計節の脳内移植はパ-キンソン病に有効で、なおかつ安全であることを証明し、臨床応用可能である事を示唆している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Itakura T: "Neuronal transplant in parkinsonism" Jap J Psychiat Neurol. 45. 515-516 (1991)

  • [文献書誌] 板倉 徹: "神経節の移植・・・神経伝達物貭の変化を中心に" ブレインサイエンス. 2. 297-304 (1991)

  • [文献書誌] 中井 三量,板倉 徹,杜 建新,駒井 則彦: "上頚神経節の脳への移植" 生体の科学. 42. 75-80 (1991)

  • [文献書誌] 大岩 美嗣,板倉 徹,駒井 則彦: "交感神経節の脳内移植と軸索誘導" 脳と神経. 43. 129-137 (1991)

  • [文献書誌] Itakura T,Umemoto M,Kamei I,Imai H,Yokote H,Yukawa S,Kowai N: "Autotransplantation of peripheral chalinergic neurons into the brains of Alzheimer model rats" Acta Neurochirurgica.

  • [文献書誌] 板倉 徹: "神経伝達物質update" 中学医学社, 200 (1991)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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