研究概要 |
平成2,3年度にラット中大脳動脈(MCA)閉塞による皮質下梗塞モデルにて1週間後および3ヶ月後のAcetylcholinesterase(AChE)染色にて大脳皮質(frontal cortex)AChE陽性神経線維を検討し1週間では80%のAChE陽性神経線維の減少がおきるが3ヶ月後にはこのAChE陽性神経線維が回復する傾向があることを明らかにした.平成4年度ではさらにMCA閉塞後12ヶ月まで生存期間を延長しAChE陽性神経線維を検討した.コンピューター画像解析装置を用いてAChE陽性神経線維を定量的に評価すると,sham controlではfrontal cortex 1mm^3あたり10.6mのAChE陽性神経線維が存在するが皮質下梗塞後1週間では2.2mに減少し,3ヶ月後になると3.3mと回復の傾向を示すが,12ヶ月後においても3.2mと3ヶ月後とほとんど変化はなくある一定のレベルまで達すればさらなる回復は困難であることが明かとなった.皮質下梗塞モデルでは線条体を中心として梗塞に陥るが,抗ラットlgG抗体を用いた免疫組織化学染色では梗塞後1週では皮質下梗塞巣のみならず,視床,梗塞巣周辺部大脳皮質,Nucleus Basalis Meynert(NBM)などかなり広範にlgGのラベリングを認め,脳浮腫が及んでいることが明かとなった.さらにグリア反応などの組織反応も生じていた.こうした急性期の反応もAChE陽性神経線維の減少に関与すると考えられた.
|