研究課題/領域番号 |
02670643
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白土 修 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (20206296)
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研究分担者 |
但野 茂 北海道大学, 工学部, 助教授 (50175444)
金田 清志 北海道大学, 医学部, 教授 (60000957)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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キーワード | 脊椎固定器具 / 人工材料 / 生体材料 / 体幹筋 / 生体力学 |
研究概要 |
前年度までの研究から、新しい人工材料を用いて脊椎固定器具を開発するためには、器具が使用される生体側の要因も充分に検討しなければならない必要性が判明した。このための実験系には、屍体脊柱あるいは動物などを用いたものは適切ではない。脊柱の安定性には、体幹筋の筋力が重要な役割を果たすからである。前年度の研究では、腰痛症患者の体幹筋力は求心性、遠心性両者の収縮様式で低下していることを示した。しかし、これらは狭義の筋力(muscle strength)を意味するものであり、実際の日常生活では筋持久力(muscle endurance)も大きな問題となってくる。特に、脊椎固定器具を実際の臨床例に使用する場合、器具に作用する応力(stress)を長期に渡って緩衝することが、体幹筋の役割であり、この際筋持久力の要素を無視することは出来ない。以上を知る目的で、健常者と慢性腰痛症患者を対象に体幹筋持久力を検討した。従来の体幹筋持久力検査方法は、手技も繁雑で、患者には過負荷であり、本研究者らが考案した新しい評価法を採用した。その結果、腹筋持久力にはKraus-Weberテストの下部腹筋評価法が、また、背筋持久力にはSorensenテスト変法が簡便、安全かつ正確に施行できる方法であることが判明した。 また、両群の比較でも腰痛症患者群に有意の差を持って、腹・背筋持久力の低下がみられた。次に、体幹筋の複雑な筋活動の一つであるflexion-relaxation phenomenon(体幹屈曲運動時に背筋の筋活動が突然停止する現象)を検討した。健常人で観察されるこの現象は、腰痛症患者全例において欠如しており、体幹筋活動の協調性が崩れている可能性が考えられた。さらに、全く新しい脊椎内固定器具であるGraf flexible stabilization systemを実際の臨床例に使用する臨床治験を施行した。材質がチタン性スクリューおよびダクロン性人工靱帯からなるこの器具は、生体親和性に富み、MRI検査も可能であり、優れた固定性を示した。材質の妥当性、機械的強度の優秀性は、納得の行くものであったが、生体内吸収性の器具ではなく、今後の検討の余地が残された。
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