前年度に引き続き、免疫学的にminor mismatchのある2系のラット(Fisher 344とLewis)を用い、3つの実験系を作成して行い、移植におけるcryopreservationの影響を検討した。1.免疫抑制剤を用いない新鮮同種半月板移植:16匹。2.免疫抑制剤を用いた新鮮同種半月板移植:6匹。3.cryopreserveした半月板を用いた同種移植(免疫抑制剤使用せず):8匹。コントロ-ルとしてFisher344を用い、isograftを行った。12週以降でもisograftは前例生着していた。またcryopreserveした半月板移植群でも軟骨基質は強いメタクロマジ-を示し、プロテオグリカンの盛んな産生を示した。半月板はほぼ完全な形で保たれ、変性を示す所見はなかった。 同様の保存方法を用い、カニクイザルでの同種移植実験を行い短期成績を得た。isograftでは軟骨細胞は全層にわたって存在し、滑膜の肥厚、炎症細胞の浸潤は認めなかった。新鮮同種移植では滑膜の肥厚が著しく、軟骨細胞は全層にわたって変性あるいは消失していた。cryopreserveした半月板を用いた同種移植では、深層部での核の萎縮が認められたものの、滑膜の肥厚はなく、ほぼ正常な形で保たれていた。カニクイザルはヒトと同じ線維軟骨からなる半月板を有しており、臨床応用への可能性を示唆するものである。
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