半月板同種移植の免疫反応を明らかにするために、ラットでの半月板同種移植を行い、半月板同種移植の可能性を検討した。また、移植におけるcryopreservationの影響を実験した。実験は免疫学的にminor mismatchのある2系のラット(Fisher 344とLewis)を用い、3つの実験系を作成して行った。1.免疫抑制剤を用いない新鮮同種半月板移植:16匹。2.免疫抑制剤を用いた新鮮同種半月板移植:6匹。3.cryopreserveした半月板を用いた同種移植(免疫抑制剤使用せず):8匹。コントロ-ルとしてFisher344を用い、isograftを行った。4週から21週の期間で屠殺し、組織学的に評価した。isograftは前例生着していた。免疫抑制剤投与群では滑膜の増生は緩徐で軟骨細胞も残存していたが、深層の骨は吸収される傾向にあった。免疫抑制剤非投与群では、これとまったく異なる反応を示し、滑膜の増生が強く見られ、軟骨細胞は経時的に変性に陥り、基質も線維性組織に置換されていた。Cryopreserveした半月板を用いた同種移植では、21週までほぼ完全な形で半月板が保たれ、変性を示す所見はなかった。 さらに、同様にcryopreserveした半月板を用いた実験をカニクイザルを用いて行った。この実験でも滑膜の増生はなく、ほぼ完全な状態で半月板は保たれていた。カニクイザルはヒトと同じ線維軟骨をしており、さらにこの方法が免疫抑制剤を用いないため、臨床応用への裏付けとなると考えられる。
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