研究概要 |
前回報告した通り、ニュ-ジ-ランドホワイト種家兎49羽を用いて以下の4群のモデルを作成した。A群:橈骨神経の運動枝と知覚枝を分岐部で切断した後、神経に回旋を加えず5mm長のaterocollagen tube(高研製)をかぶせて神経断端を縫合した。B群:神経切断部で近位断端と遠位断端で運動枝と知覚枝の位置が反対になるように縫合した。C群:10mmの aterocollagen tubeを用い,神経断端間に5mmのギャップをつける以外A群と同様。D群:神経断端間に5mmのギャップをつける以外B群と同様。術後24週間後に評価可能であった35羽の神経伝導速度、総指伸筋(以下EDC)乾湿重量、テタヌス刺激時のEDC筋収縮力を測定し、個体差を除くため対側との%で比較した。結果:運動枝伝導速度はA:48.0±8.4B:48.9±3.5C:46.2±5.4D:43.0±5.3知覚枝伝導速度はA:52.8±7.6B:55.9±8.8C:50.5±5.1D:48.9±5.6でややギャップを開けた群の伝導速度が劣るものの各群間に有意差を検出できなかった。EDC乾重量はA:119.8±22.4B:94.9±17.6C:121.226.4D:108.6±18.3湿重量はA:115.0±207B:100.3±21.7C:113.3±23.9D:108.2±16.4でB群で軽い傾向があった。EDC収縮力はA:93.6±21.6B:45.6±27.8C:111.4±30.2D:89.1±38.6で、5mmのギャップを開け交差縫合したD群はB群より有意(P<0.01)に優れており、交差のないAC群と有意差はなかった。以上より、神経断端にtubeで維持したギャップをつけることで神経が自由な方向に再生することが可能となり、機能回復に有利であると考えられた。この縫合法は臨床でも神経断端間のfunicular patternが一致しない場合に、利用可能であると推察された。現在、モデルより採取した組織より有髄神経数、有髄神経平均直径を計測中で、この結果は次回報告の予定である。
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