研究課題/領域番号 |
02670652
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
藤岡 文夫 信州大学, 医学部附属病院(整形外科), 助手 (00209024)
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研究分担者 |
木下 久敏 信州大学, 医学部(整形外科), 助手 (30177894)
小林 千益 信州大学, 医学部附属病院(整形外科), 助手 (40205464)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 凍結走査電子顕微鏡 / 関節軟骨 / Lamina splendens / 組繊学 / 微細構造 / 関節 / 生体力学 / 酵素消化 |
研究概要 |
従来、通常型走査電子顕微鏡で観察されてきた関節軟骨の第1層である表層が、今回の凍結走査電子顕微鏡による観察で、関節表面に平行に走るコラ-ゲン線維よりなる従来からの表層と、その上の無定形な層とからなることが明らかになった。表層上のこの層を、本研究では『(無定形)最表層』と呼ぶことにした。【関節軟骨の力学的特性に関する実験】では、インデンテ-ションによる軟骨の変形を計測した。インデンタ-下では、表層以下の層の圧縮変形量は荷重圧や荷重時間と1次相関があったが、最表層の変形量は荷重圧や荷重時間と関連がなかった。インデンタ-周辺では、最表層が肥厚し、この肥厚の厚さは荷重圧と相関があったが、荷重時間とは関連がなかった。【関節軟骨表層の形態のトポグラフィ-的変化に関する研究】では、表層の厚さは関節内の部位によって異なった。脛骨側半月板被覆部の表層が、同部の軟骨全体の厚さが大腿骨側や脛骨側半月板非被覆部より薄いにもかかわらず、それらの部位の表層より厚かった。表層上の最表層の形態は、主として4つに分類できた。最表層の厚さは関節内の部位とは関連がなかったが、この形態の分類と関連があった。【関節軟骨表層の構成物質の特性に関する研究】では、最表層は乾燥と力学的負荷とイオン状態によって影響され、その形態と厚さを著しく変化させた。最表層を構成する物質はヒアルロニダ-ゼで消化され、コラゲナ-ゼには抵抗性であった。表層以下の層のコラ-ゲン線維は、コラゲナ-ゼで消化された。最表層には、表層以下を軟骨外からのコラゲナ-ゼによる侵襲より保護する役割があると考えられ、変形性関節症および慢性関節リウマチの発生とこの層との関連が推定された。関節表面を擦過すると、最表層が失われ、関節の潤滑機能が障害された。関節の手術時に不用意に軟骨の表面を擦り、最表層を損傷しないように気を付ける必要があると思われる。
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