研究概要 |
ラットの女性ホルモン喪失(卵巣摘出術)と不動(坐骨神経切断術)の併用による実験的骨粗鬆症を作製して、骨粗鬆化をきたした局所である骨組織(脛骨)のTGFーβとオステオカルシンの発見を検索した。骨代謝における局所調節因子であるTGFーβとオステオルシンは、CーDNAを作用させてRNAを抽出してノ-ザンブロッティング法によって検索した。骨組織を細粉化してホモジナイズした試料では、TGFーβのRNAは微量であったが、骨髄組織のTGFーβは多量に認められた。また、コントロ-ル群である偽手術群に比較して骨粗鬆群では増加を認めた。一方、オステオカルシンも同様の変化を認め、経時的に屠殺すると手術後4週にてRNAの発現は高値となり、手術後12週迄持続していた。このことは、血清中のオステオカルシン濃度が高値となることと一致しており、血清中のオステオカルシンが局所における骨芽細胞のオステオカルシンの産生を反映していると考えられた。 さらに、最近開発された新規のビタミンD_3アナログであるZβー3ハイドロオキシプロポキシ1,25ダイハイドロオキシビタミンD_3(EDー71)を経口投与する実験を行った。EDー71を投与することによって、骨髄組織中のオステオカルシンのRNAが増加することが認められた。オステオカルシンは骨芽細胞が産生する特異的な蛋白であることから、EDー71は骨芽細胞の活性を増加させて骨形成を増加させる薬剤である可能性が示唆された。
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