研究課題/領域番号 |
02670655
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松末 吉隆 京都大学, 医学部, 助手 (30209548)
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研究分担者 |
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
山室 隆夫 京都大学, 医学部, 教授 (00088527)
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キーワード | 生体内分解性 / 高分子 / ポリ乳酸 / 骨接合術 / 強度 / スクリュー / プレート |
研究概要 |
生体内分解性高分子であるポリ-L-乳酸(PLLA)を一軸方向に延伸して作製された骨接合材は、繊維で強化しないPLLAの中では最も高い強度を有する。家兎脛骨近位端を用いた実験的骨切り術において、PLLAスクリューの有用性が実証されすでに外国雑誌に掲載された。次に、長期の埋入実験を続けているが、家兎大腿骨髄内においてPLLAロッドは重量を、1年半で約70%減少し、2年では殆んど計測し得るものは認められなかったが、この前後より組織球による活発な貧食反応がロッド周囲にみられ、2年〜2年半頃にピークに達していた。3年を過ぎると、周囲の組織球と数・活動性ともに減少していたが、尚、3年半においても、組織球の反応は続いていた。ロッド埋入部は、一部、線維性組織や骨により置換されていたが、完全に骨組織で置換されるか否かは、今後より長期の実験を要する。1年半までの、延伸された高強度ポリ-L-乳酸ロッドの骨内・皮下における強度.分子量の経時的変化は、すでに別の外国語論文で明かにした。また、延伸PLLAプレートを用いた家兎の大腿骨と切り術の実験において、金属性プレートと比較して骨癒合成巧率において差はなく、DEXAを用いた骨塩量定量検査において、8週までは両者間に差を認めないが、25週以後PLLA群の方が骨塩量の低下は少なく、金属性プレートを用いた群では、特に40週において著しい骨塩量の低下を来たしていた。三点曲げ強度試験においても、ばらつきはあるものの同様の傾向を示した。この結果より、PLLAプレート(延伸し高強度のもの)は、骨折治療の過程で骨のリモデリングを妨げず、金属を用いた時のような骨粗鬆化を来さないので、有力な骨接合材となり得ると考えられた。人の臨床治験においても、最高3年までに副作用はみられず、良好な経過を辿っている。
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