研究概要 |
われわれは、これまでに通過静脈皮弁の生着の有無について検討してきたが、その生着には皮弁側には皮弁内の血管網の性状、移植側には動脈に近い特殊な皮下静脈の性状が関与するものと思われた。また、同皮弁の生体顕微鏡的観察から移植直後から静脈皮弁内には静脈から拡散する血流が確かに存在するものの、その血流は非常に不規則であり、極めて不安定な血行動態を示すことが判明した。しかしながら、静脈自体のterritoryが不明確なため、われわれは新たに実験モデルを作製し1本の通過静脈が生着させることのできる面積や幅について検討を加えた。実験結果から、一本の静脈で生着する幅は、1.1±0.45cm,この生着幅は周辺からの血行に影響されることが統計的に証明された。今回新しく作製された静脈皮弁の実験モデルは生着幅、面積を定量でき、しかも同皮弁の生着に関与する種々の因子を検討する基礎モデルともなると思われる。
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