研究概要 |
平成2年度橈骨遠位端骨折における橈骨手根関節の力学的変化 橈骨遠位端骨折モデルを作製、骨折後の遺残変形における橈骨手根間関節の圧分布を測定し、その病態の解明を行った。 Dorsal tilt 10°,plus variant 2mm以上となると、舟状骨関節面の圧密度増大、関節縁の圧集中をみとめた。plus variant 2mm,dorsaltilt 20°で舟状骨関節面のaxial forceの増大を認め、橈骨の矯正骨きり術が力学的には考慮される。 平成3年度TFC切除による手関節の力学的変化 TF倍の部分・完全切除手関節標本で圧測定を行い、TFCの切除が手関節にどのような影響を与えるかを検討した。 zero variantではTFCに均一に圧が加わり、部分切除でも同様の傾向がみられた。完全切除ではTFCに最高加圧部位が出現し、圧の集中がみられた。この部位は臨床部なTFCの変性断裂部位と一致した。TFCは手関節に加わる力の緩衝となり、TFC部分切除は圧負荷よりみて有効な治療法である。 平成4年度舟状骨月状骨解離モデル(手根不安定症)における手関節の圧変化 舟状骨月状骨解離モデルで手関節の圧変化を測定し、変形性関節症の発生について考察した。不安定性の増大と共に橈骨月状骨・月状骨有頭骨間関節の圧密度の増大、axial forceの増大を示した。舟状骨の掌側回転回転による手根不安定症の場合の手関節の圧変化は、SLACwristなどの変形性関節症を発生させる病態となりうる。
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