慢性関節リウマチ(RA)のリンパ球系細胞の異常に関しては従来から関節液、末梢血を用いてのサブセットの検討、IgG産生能などを脂標とした機能面からの検討が行なわれてきた。一方、これらの細胞が発生する場である骨髄レベルにおける報告はないが、我々の研究により骨髄移植により実験的関節炎は抑制されることから、骨髄細胞におけるサブセットおよびその機能を検討することにした。 変形性関節症や脊椎疾患などの免疫学的異常を示さない患者を対照として、これらの患者およびRA患者の手術時に腸骨より骨髄血を採取した。比重遠沈法により単核球を分離し、細胞数を調整した後各種モノクロ-ナル抗体を用いてサブセットを検討した。検討項目はT細胞、B細胞およびT細胞のサブセットとしてサプレッサ-インデュ-サ-、ヘルパ-インデュ-サ-、キラ-、ナチュラルキラ-、IL2レセプタ-陽性細胞などとした。 骨髄細胞全体では、いずれのサブセットにおいてもRAと対照群の間に有意の差を認めなかった。骨髄細胞より単核球を分離し検討すると、T細胞、B細胞、ナチュラルキラ-細胞、IL2レセプタ-陽性細胞には有意の差を認めなかったが、サプレッサ-インデュ-サ-細胞(CD4+CD45RA+)の有意の減少とヘルパ-インデュサ-細胞(CD4+CD29+)、およびクラスI拘束性のキラ-細胞(CD8+S6F1+)の有意の増加を認めた。 今回得られたRA骨髄単核細胞のサブセットの変化は、我々が以前に得たRA関節液中リンパ球の変化と一致しており、RAにおける免疫異常が骨髄レベルでも存在することが明らかとなった。しかし、骨髄細胞の機能が末梢血リンパ球と同様かどうかは不明であり、さらに現在骨髄細胞の機能について検討中である。
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