研究概要 |
星状神経節ブロック(以下SGB)、炭酸ガス併用酸素吸入などの治療法について、頭部への血流量、酸素供給量の面から検討した。方法:8ー12Kgの雑種成犬12頭を用いた.ペントバルビタ-ル20mg/Kg,パンクロニウム0.2mg/Kgを静注して麻酔導入し,それらを持続追加投与しながら、気管内挿管下で人工呼吸を行った。採血用のカテ-テルを大腿動脈と両側の頚静脈に留置し、電磁流量計(日本光電社MFVー1200,MFVー1100:現有)のプロ-ブ(購入)を左開胸下で大動緒起始部、そして頚部で両側の総頚動脈にそれぞれ装着し、次に開頭下に左側の脳表部にレ-ザ-ドップラ-血流計(Moor社MBF3:借用)のプロ-ブ(購入)を装着した.左星状神経節へ留置したカテ-テルから1%メピバカイン2mlを注入する前・後において、下記のような条件が得られるように人工呼吸中の吸入ガスを調節し,約10分間吸入させた時点で,左脳血流量(CBF),左右の総頚動脈血流量(CaBF),心拍出量(CO),動脈圧,心拍数,動脈血・頚静脈血の血液ガス分析,酸素含有量などを測定した. 条件 (1)→(2)→(3)→(4)→(5) PaO2(mmHg)100 500 500 100 100 PaCO2(mmHg)40 40 50 50 40 結果と考案:空気呼吸下でSGBを行うと、CaBFは、ブロック側では平均76ml/分から94ml/分へと増加したのに対し、非ブロック側では28%の減少がみられた(P<0.05).次に純酸素を吸入するとCOの減少とともに,CaBFが減少する傾向がみられ,それはSGBを行ってもその傾向は抑えられなかった.一方酸素とともに炭酸ガスを併用すると,酸素によるCaBFの減少分が回復する傾向がみられた.脳血流は炭酸ガスの吸入によって従来の報告のように増加するが、酸素や星状神経節ブロックの影響はみられなかった. 結語:酸素や炭酸ガスに対する総頚動脈血管の反応性はSGB後も保たれており,脳への酸素供給の目的で酸素を負荷する場合は炭酸ガス吸入の併用が効果的と思われる。
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