研究課題/領域番号 |
02670682
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤井 宏融 広島大学, 医学部, 講師 (60034021)
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研究分担者 |
佐藤 鴨芳 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (30225982)
盛生 倫夫 広島大学, 医学部, 教授 (80033950)
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キーワード | 吸入麻酔薬 / ハロセン / 脂質過酸化 / 肝障害 |
研究概要 |
ハロセンの吸入によってまれに重篤な肝障害が発生する。その原因として脂質過酸化説と免疫説が考えられている。その前者の可能性を明らかにする目的で本研究は計画された。本年度は、ハロセンの吸入によって脂質過酸化の生じるモルモットと生じないラットの薬物代謝系および抗酸化系を比較し、その違いから発生機構を推測することが目的である。 ハロセンの代謝は肝臓のチトクロムPー450を含む薬物代謝系酵素で行われる、代謝が関与した肝障害であるなら、原因として、薬物代謝系酵素の亢進と、脂質過酸化を抑える抗酸化系の違いが上げられる。本研究の結果、肝臓ミクロソ-ムのNADPHチトクロ-ムP450還元酵素、チトクロ-ムP450、NADHチトクロ-ムb5還元酵素およびチトクロ-ムb5のなかで、モルモットのNADPHチトクロ-ムP450還元酵素、チトクロ-ムP450およびチトクロ-ムb5がラットのそれより有意に多かった。発生したラジカル物質の消去系に働く抗酸化系の主なものとして細胞質のビタミンC、GSHおよびミクロソ-ムのビタミンEを測定した。細胞質のビタミンCにはラットとモルモットとに差は見られなかった。ミクロソ-ムのビタミンEの濃度にはラットとモルモットとに差が見られ、モルモットのほうがラットに比べ約1/3倍少なかった。一方細胞質のGSH濃度はモルモットのほうがラットに比べ約2倍多かった。 以上の結果から、モルモットとラットの薬物代謝系および抗酸化系の違いから比較するとハロセンによる肝障害の原因はモルモット代謝系がラットに比して2倍多く、ミクロソ-ムのビタミンEの濃度がモルモットの方が低いことであろうと考察した。
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