研究概要 |
本年度は健康成人により採取した好中球を実験的hypoxia下におき,活性酸素生成がどの様に変化するかを検討した。 10^6個/mlの好中球を調製し,密封管内に封入しNaを充填して37℃,30分間反応させ実験的hypoxia下においた群(hypoxia群)とその後,更に純酸素で37℃,15分間再潅流した群(reoxygenation群)に分けてチトクロ-ムC還元法を用い活性酸素生成の変化を検討した。活性酸素生成は各群において静止状態と膜刺激状態と2つについて検討した。 〔結果〕好中球の静止状態においては対照群を100%とするとhypoxia群で66.0±21.8%(N=4)と活性酸素成生は低下し,reoxygenation群で157.5±46.5%(N=4)と有意な上昇を示した。膜刺激物質としてPMAを用いて好中球を刺激した状態での活性酸素生成はコントロ-ル群を100%とするとhypoxia群で51.0±24.6%(N=4)と有意に低下し,reoxygenation群では114.0±16.8%(N=4)と上昇した。 これらの結果から静止状態で酸素化により対照よりも活性酸素生成が過剰にみられており,臨床でみられるいわゆる再潅流障害に関わる活性酸素過剰生成がみられた。このことは再潅流障害モデルとして本実験系が有用であることを示しているが,膜刺数状態では有意な上昇をみとめなかったことから,膜刺激物質の適切な選択及び投与量が今後の課題として判った。 又、PMAはCa^<++>の変動をきたさない膜刺激物質であることもよく知られており,Ca^<++>変動がどの様に関係してくるかという点も重要な間題として残っている。
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