本研究は、従来^<14>Cー2ーdeoxyーDーglucoseを用いて測定されていた局所脳代謝率の変化をマイクロダイアリシス法により脳局所の乳酸濃度を連続的に測定することにより推定できるという仮定に基づいて、ラットの循環ショックモデルにおいて脳の糖代謝とその部位における神経化学的変化の関係を求めようとするものであるが、今年度の研究結果として以下のような成果が得られたが同時にいくつかの問題点があることがわかった。 1)乳酸連続測定装置の作成:既存の分光光度計に特注のフロ-セル(セル容量約15μ1、光路長5mmのZ型セル)を取付、マイクロダイアリシスプロ-ブから導かれた環流液(流速10μl/min)に途中でY字管を用いて接続したチュ-ブから酵素混合液(LDH+NAD)を送りこんで混合しフロ-セルへと送り連続的に乳酸濃度を測定することが可能となった。しかし、応答時間が約4分かかるため脳内の神経活動の変化に伴って起きる糖代謝の速い変化をとらえるには不十分であり、さらに分光光度法では感度的にも限界があるため今後、蛍光法を用いたり、セル容量を変えたりして改良する予定である。 2)ラットエンドトキシンショックモデルにおける脳内乳酸濃度の測定:ショック時においては血液中の乳酸やグルコ-ス濃度が上昇するための脳内の乳酸濃度もその影響を受けることが予想されるが、実際には脳内の乳酸濃度ショック時においても比較的低く保たれており全身の代謝変化の影響は少ないことがわかった。
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