研究概要 |
[1]Microdialysisによる乳酸の連続測定装置の試作 (Circ.Shock,1992)。但し、現段階では、分光光度計の感度が低く、また応答時間を十分短くすることができなかったので、脳内の神経活動の変化に伴って起きる糖代謝の速い変化をとらえるには不十分であり、当論文では、ラットの出血性ショックモデルにおいて、骨格筋および肝臓に本法を応用した。本来の目的ではないが、ショック時に血中の乳酸濃度が著しく上昇するにもかかわらず、骨格筋細胞外液中の乳酸濃度の変化はわずかであり、骨格筋により乳酸の取り込み、代謝が行われている可能性が示唆された。このことは、さらにin vivo calibration法を用いた次の研究Am.J.Physiol.,1992)によっても支持された。 [2]Microdialysis法による脳細胞外液中の乳酸濃度の測定 現在までに、ラット脳局所における乳酸およびグルコ-ス濃度を、薬物刺激下あるいは低酸素およびエンドトキシンショックモデルにおいて、非連続的に(10ー30分間隔)測定した。前者においては、脳局所における乳酸濃度の変化がいかなる神経活動の変化を反映したものであるかを知るための、予備実験として神経伝達物質を含めたいくつかの薬物で脳局所を刺激した。その結果、GABA関連物質が特異的に脳局所での乳酸の遊離を促進することが明かになった。(麻酔と蘇生1990、麻酔と蘇生1991 および麻酔と蘇生 投稿中)。また後者においては、脳内の乳酸濃度が、血中乳酸濃度の変化の影響を殆ど受けないことがわかった(Japanese Anaesthesia Journals'Review 1990,Anesthesiology投稿中 および Anesthesiology投稿中)。 [3]Microdialysis法による脳細胞外液中の神経活性物質の測定 出血性ショック時のラット脳局所におけるthyrotropinーreleasinghormone(TRH)の遊離を測定した(Life Sciences,1990)。
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