研究課題/領域番号 |
02670707
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
島袋 智之 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (60226222)
|
研究分担者 |
内藤 克輔 山口大学, 医学部, 教授 (60115251)
村上 知之 山口大学, 医学部, 講師 (20200272)
松山 豪泰 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (70209667)
|
キーワード | 尿路性器腫瘍 / Brdu / PCNA / ki67 / AgNOR / フローサイトメトリー / 細胞動態 / 予後推測因子 |
研究概要 |
BrdU、PCNA、Ki67、AgNOR等の細胞増殖関連因子の泌尿性器腫瘍における発現様式を知ることは、制癌剤で修飾される前の、腫瘍本来の増殖能を知るために重要である。この観点から、われわれは補助金により購入した抗BrdU、抗PCNA、抗Ki67抗体を用いて、1.膀胱腫瘍、2.腎腫瘍、3.精巣腫瘍、4.前立腺腫瘍の免疫組織化学的ならびにフローサイトメトリー( FCM)解析を行なった。その結果、以下の知見を得た。 1.膀胱腫瘍56症例においてPCNA陽性細胞を検出でき、陽性率は平均34.0%であった。単発群に比較して多発群は有意に高いPCNA陽性率を有し、また組織学的異型度が進むにつれ陽性率も有意に高くなっていた。一方PCNA陽性率の高い(34%以上)群では、低い群に比較して有意に再発率が高かった。以上のことから、PCNAは膀胱腫瘍の生物学的悪性度を知る新しい指標になりうる可能性が示唆された。 2.正常の腎組織におけるPCNA陽性率は約1.5%であり、いずれの腎癌組織も正常組織に比べ推計学的に有意に高い陽性率を有していた。組織学的構築型、細胞型別PCNA陽性率間にはいずれも有意の差はなかったが、異型度が高いほど、そして浸潤度が増すほど陽性率は有意に高くなっていた。また、PCNA陽性率10%以上群と未満群に分け生存率をみてみると、10%以上群は有意に予後不良であった。以上のことから、腎癌症例においてはPCNA陽性率は予後推測因子に成り得ると考えられた。 3.精巣腫瘍28例のパラフィン・ブロックを用いてPCNAおよびAgNOR染色を行なった検討では、PCNA陽性率とAgNOR数の間には有意の相関関係認められ、両者は精巣腫瘍増殖能を知るための有用な方法であると思われた。 4.現在超音波エコーガイド下に前立腺の針生検を行ない、DNAとKi67の二重染色を行ないFCMで解析しているところであり、この両者が新たな前立腺癌の予後推測因子となりうる可能性の手応えを掴んでいるところである。
|