研究課題/領域番号 |
02670712
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
上田 豊史 九州大学, 医学部, 助教授 (20037401)
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研究分担者 |
安増 哲生 九州大学, 医学部, 助手 (30166524)
魚住 二郎 九州大学, 医学部, 講師 (30223514)
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キーワード | シスプラチン / メチルプレドニゾロン / 腎毒性 / 予防 / 培養腎尿〓〓細胞 / 抗腫瘍効果 |
研究概要 |
昨年は副腎及質ホルモンの一種であるメチルプレドニゾロン(M)がシスプラチン(P)による腎障害の軽減作用を有する事を予備実験において確認した。本年はPによる腎毒性発現の予防法を確立する目的で、Mを用い、投予量と投与時期の関係、抗腫瘍効果に及ぼす影響について実験を行った。ラットを用いた実験では、腎機能の許価として、Pを投与後5日目のBUN、クレアチニンを指標とした。P投与4時間前にMを予防的に投与しておくと、Pによる腎障害は、GUN、クレアチニンにおいて有意に予防され、しかも用量依存的であった。Mの予防投与時期を24時間前、4時間前、2時間前、同時投与として試みた実験では、4時間前、2時前に有意の差を認め、24時間前及投与においては、Mの予防効果は認めなかった。組識学的は検討でも、コントロール群に比べ有意に尿細管上皮細胞の脱落、変性、壊死の所見は軽微であった。培養腎細胞を使用したimvitroの実験では、Pによる細胞障害の許価を、細胞培養液中のLDH、NAG、r-GTPの濃度で検討した。腎細胞にPを加えると投与24時間後より、LDH、NAG、r-GTPの細胞培養液中への遊出が起こり、細胞障害の指標となることが判明した。現在、Mを投与して、その予防効果と秀酵素の遊出との相関について、この実験系を用い、検討中である。MによるPの抗腫瘍効果に及ぼす影響について、培養膀胱癌細胞を用いてinvitroで検討した。培養膀胱癌細胞において、P投与前4時間にMを投与しても、増殖曲線をみると、Pの抗腫瘍効果を減弱させなかった。むしろある種の培養膀胱癌細胞においては、その効果を増強させる結果であった。今後は、これらの基礎実験の結果をもとに、臨床応用を試みる予定である。
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