研究概要 |
ヒト腎におけるNAG Aの精製を行い、その酵素学的特性の検討を行った。組織はヒト腎癌手術時にその正常部より得た。ホモゲネ-トを150mMのNaClを含むpH7.4のトリス塩酸緩衝液にて、ultradisperserにて作成した後、超遠心にて可溶化分画を得、これより精製を行った。カラムクロマトグラフィ-としてSephacryl Sー400,Sー200を用い、硫安にて塩析した後、HPLCイオン交換クロマトグラフィ-にて純化を進め、CBB染色にて単一蛋白にまで精製した。最終時における精製度は270倍であった。分子量は140kDa、subunitはおよそ30kDaと60kDaであった。人工基質はMCPーNAGに対するKm値は0.177×10^<-3>Mであり、Vmaxは36.06U/mg蛋白であった。至適pHは5.4であり、50℃加熱により急速な活性低下がみられた。金属イオンによる影響をみると5mMのBa^<2+>により46%の活性低下がみられたが、他の金属イオンに対しては安定であった。NAGのアスパラギン結合糖鎖についてConAおよびWGAを用いて検討した。ConA結合しない糖鎖である多枝複合型およびbisectingNーacetylglucosamine(GlcNAc)を有する複合型は少なく5.2%を占めただけであり、ConAに弱結合を示す複合型糖鎖はわずかに1.2%であった。これに対しConAに強結合し、かつWGAに結合しない糖鎖である高マンノ-ス型とコアよりの最内側のGlcNAcにフコ-スを有する混成型糖鎖は計79.2%を占めた。また混成型であるがコアよりの最内側にフコ-スを持たない糖鎖は14.0%であった。またノイラミニデ-ス処理によってもHPLCイオン交較クロマトグラフィ-上の溶出パタ-ンは変化セず、NAG Aにおいてはシアル酸含量は少ないものと考えられた。
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