研究概要 |
フロ-サイトメトリ-(FCM)を用いたbromodeoxyuridine(BrdU)/DNA二重解析にて,抗癌剤の短時間暴露後のS期細胞に対する影響より抗癌剤の抗腫瘍効果との対比より,本法の抗癌剤感受性試験への応用を検討した。In vitroにおける培養細胞を用いた検討において,ヒト膀胱癌培養細胞株KUー1に対しメトトレキセ-ト(MTX),シスプラチン(CDDP),およびビンブラスチン(VBL)を接触させ,経時的なBrdU/DNA解析によるS期細胞比率(%LI)ならびにtripanblue dye exclusion法による殺細胞効果(%CT)を比較した。MTX10mcg/mlの濃度では%LIの有意な増加が薬剤接触24時間後より認められ,72時間後の%CTと%LIはt=2.567と良好な正の相関が得られた。同様にVBLでも正の相関が認められたが,CDDPにおいては負の相関(t=ー2.456)が示された。このことは,膀胱癌細胞の薬剤感受性を検討する上でフロ-サイトメトリ-によるDNA/BrdU二重解析がその客観的指標として臨床応用可能であることを示すものと考えられた。一方,膀胱癌100例に対しフロ-サイトメトリ-によるBrdU/DNA二重解析を行うと,gradeー1の膀胱癌では4/15(26.7%)のaneuploidyが示され%LIは4.8±3.0であったのに対し,gradeー3の膀胱癌では23/24(95.8%)のaneuploidy,および17.2±8.5の%LIが認められた。この結果は膀胱癌において抗癌化学療法の対象となる,highーgrade腫瘍においてBrdU標識率が高く,実際の臨床応用上%LIの変化による薬剤感受性の検討が可能であることを示すものである。
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