研究概要 |
手術摘出標本のヒト腎癌及び膀胱癌の原発巣を原材料として、無菌的に採取した癌組織より我々の開発したBEMー841培地を用いて無血清培養による初代培養を行なった。 培養を試みた腎癌6例中3例で、膀胱癌6例中4例で初代培養から継代可能となった。培養開始後2カ月後にはシャ-レ内の細胞はconーfluentとなったため継代した。さらに、6週間後に3代へ継代した。我々の樹立した培養細胞株が、原発巣である腎癌及び膀胱癌に由来したものであることを、光顕的観察、電顕的観察、染色体分析及びヌ-ドマウスへの異種移殖より得られた移殖腫瘍が、原発巣と矛盾しない病理組織学的及び組織化学的所見を示すことを確認した。以上の培養細胞を材料として、糖脂質分画の抽出を生化学的に行ない、lower phaseより糖脂質を得、DEAEーSephadexにて、シアリル糖脂質とneutral糖脂質を分ける。以上で得られた純化した糖脂質を抗原としてマウスでモノクロ-ナル抗体を作製するために、細菌を酸で処理したものに得られた抗原糖脂質を吸着させ,これを免疫する方法によった。糖鎖により免疫反応の強さが異なり、ハイブリド-マ樹立の効率も大きく異なることからモノクロ-ナル抗体ができ易いかどうかは予測不能であり、実験中である。
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