研究概要 |
Snell下垂体性小人症マウス(dw)、little小人症マウス(lit)、先天性原発性甲状腺機能低下症マウス(hyt)の3種類の先天性ホルモン欠損動物のうちホルモン接合体であるdw/dwとhyt/hytの雄は不任であるが、lit/litに関しては明確ではない。dw/dwにGH+T_4 lit/litにGH、hyt/hytにはT_4を出生直後より投与する早期回復後実験を行ない各々のマウスの正常対照群、未治療群、治療群における40日齢の精巣を摘出し、造精過程を形態学的に検索し比較した。 1)dw/dw群、lit/lit群、hyt/hyt群の全てのマウスで精巣組織を検索したところ、正常対照群に比し総造精細胞数の著明な低下を認め,造精過程の名段階で、dw/dw群ではSpermatid、lit/lit群ではsperm、hyt/hyt群においてはSpermatid Spermの細胞数の低下が著明であった。 2)dw/dw群、lit/lit群、hyt/hyt群での総造精細胞数の低下は、前述したホルモンを投与する早期回復実験で改善を認めた。 3)男子不妊症の診断法の1つである精巣生検法で精細管の形態より造精機能を評価する場合に用いるJohnsen scoreで3種類の先天性ホルモン欠損動物の造精機能を評価したところ、Score9以上は正常コントロ-ルマウスでは71.8%であるのに、dw/dwでは28.6%lit/litでは1.7%、hyt/hytではScore6以下は認められなかったが、dw/dwでは10%、lit/litでは25%に認められた。 4)dw/dw群にGH+T_4を投与する早期回復実験ではScore9が21%増加、Score8が9%増加、Score7が15%減少、Score6が7%減少と結果でJohnsen scoreの改善を認めた。一方hyt/hytにT_4を投与する早期回復実験ではJohnsen scoreの改善は軽度であった。 この実験よりGHとT_4が造精機能に関与している事が示唆された。
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