研究概要 |
1.割球分離後の生存性 各発育ステ-ジの胚の単一割球除去後の親胚の生存率は70〜80%と高率であるが、昨年同様現在のところ単一割球のその後の発育は認められていない。現在単一割球培養における至摘培養液を検討中であるが、whitten液、mーTyrode液,HTFいずれの培養液においても単一割球発育能の改善には至っていない。又割球分離後の親胚のrecipientへの移植実験ではAgarによる透明帯の再垉埋処理を加えなくとも約30%の着床率を認めた。 2.単一割球の細胞遺伝学的検討 単一割球の染色体作製率はコルヒチン処理時間を6〜8時間より12ー16時間に延長することにより20%程度の染色体作製に成功し、昨年と比較し上昇を認め、割球分離技術の向上がうかがえる。さらにポドフィロトキシン、ビンブラスチンなど至適spindle blockerに関し検討中である。 3.割球の凍結保存 割球の離後の親胚の凍結保存は1.5M DMSO+0.25M sucroseを用いた5ーstep dilution法で30%程度凍結保存後の発育を認めているが、現在凍結保護剤の見直し(プロパンディオ-ル、グリセロ-ル)又sucrose濃度の再検討を行なうとともに急速凍結法も試み凍結隔解後の発育能の改善をめざしている。単一割球の凍結保存に関しては上述した0.15Mプロパンディオ-ル+0.1M sucroseを用いた5ーstep dilution法を検討中であるが、融解後、大部分の単一割球は変性を示し、凍結をしないOutiol群同様その後の分割に成功しておらず、凍結保護剤、凍結温度設定、dilution法など基礎的検討を再度行なう予定である。
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