研究概要 |
既知のラットFSH receptor cDNAを基にレセプタ-の膜貫通部位を増幅する目的でprimerを合成しPCR(polymerase chain reaction)にて、数百bpのreceptor cDNAの一部を得た。これを用いて上述のライブラリ-をスクリ-ニングして、ほぼfull coding regionを含むFSH receptor cDNAを得た。一方、人卵巣の黄体より同様にcDNAライブラリ-を作製し、ラット各々のレセプタ-cDNAをnick translationにてlabelingを行いスクリ-ニングを行った。 ヒトFSHレセプタ-にて関しては、359アミノ酸の細胞外領域と254アミノ酸の膜貫通領域を持ち、65アミノ酸の細胞内領域を持つクロ-ンを得た。全長は、678アミノ酸で分子量は、76465 daltonsと推定された。細胞外領域には、4カ所のNーlink糖鎖結合可能部位を持ち、ラットFSHレセプタ-と、86%の相同性を示した。膜貫通部位に於いては、ラットFSHレセプタ-と96%の相同性が存在しヒトLH/hCG,TSHレセプタ-とほぼ70%の相同性が存在した。細胞内領域では、多数のセリン、スレオニンを認めた。また、293cellへのtransfectionにより、Human FSHによるcAMPの上昇を認めた。 我々は、ヒトのLH/hCG,FSHレセプタ-のクロ-ニングを行いその推定される、アミノ酸構造を明らかにした。共に、TSHレセプタ-を含めG protein結合レセプタ-の中でも非常に長い細胞外領域を持ち、保存されているシステインが、SーS結合による構造上の特異性を保持するのに役だっていると思われた。 ヒトに於けるゴナドトロピンレセプタ-の構造が明らかになった事で、今後レセプタ-の構造と機能の関係が解明されていくことが、期待される。特に我々は、人に於ける排卵機構とレセプタ-の構造、発現調節につきさらに検討を加える予定である。
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