研究概要 |
本年度はヒトに関しては、分娩時における子宮胎盤循環について超音波パルスドプラ法を用いて検討した。陣痛の発来した妊婦に対し,陣痛発作時と間歇時にそれぞれ母体の子宮動脈・臍帯動脈の血流を計測し,血流波形からresistence index(RI)を算出し比較検討した。また破水例においては,子宮内圧も同時に測定した。 動物胎仔に関しては,子宮外胎仔保育法により人工羊水内で保育中のヤギ胎仔に対し低体温刺激を加え,齢令による反応性の差につき検討した。 子宮動脈のRIは陣痛発作時には間歇時に比し有意に高値を示した。また子宮内圧と陣痛発作時のRIとの間には正の相関が認められた。陣痛発作時には子宮血流量は減少し,子宮収縮の強工に相関することが示唆された。臍帯動脈のRIは陣痛発作時と間歇時との間には有音の差は認められなかった。一方分娩の進行に伴ない臍帯動脈RIは増加する傾向が認められた。臍帯血流量は子宮内圧の変化の影響を受けないことが明らかとなった。また分娩進行によるRIの変化は分娩ストレスの胎児に対する影響と関連があるものと推察された。 子宮外保育中のヤギ胎仔においては、胎齢130日台のヤギ胎仔では低体温刺激により酸素液素量の増加,アドレナリン・ノルアドレナリンの増加,グリセロ-ルの増加などが認められたが、胎齢110日未満のヤギ胎仔ではこれらの変化が認められず低体温刺激に対する文応性が未熟であることが示された。
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