研究概要 |
Insulinーlike Growth Factor(IGF)にはIGFーIとIGFーIIの2種類の存在が知られている。女性における生殖内分泌の中心である卵巣、とりわけ顆粒膜細胞に対するIGFーIの作用は数多くの報告がみられるが、IGFーIIに関してはほとんど報告をみない。そこで我々はまずhuman IGFーII recambinant(Eli Lilly社)とIGFーII monoclonal抗体(天野製薬)を用いてRIA系を確立した。そして11名の体外受精施行婦人より採卵時に得られた卵胞液21検体中のIGFーI,IGFーIIの濃度を特異的RIA法を用いて検討した。各々の濃度はIGFーI:75.9±6.7,IGFーII:663.8±57.3ng/nl(mean I SEM)であり,IGFーII値はIGFーI値の約8倍の高値を示した。卵胞液中のIGFーIとIGFーIIには有意な正の相関(r=0.944,p<0.001)がみられ、IGFーI,IIともEstradiol(E_2)とPrtgesterone(P)と有意な正の相関を示した。invivoにおいてIGFが顆粒膜細胞の機能に深く関与している可能性が示唆されたため、ブタの培養顆粒膜細胞を用いて,invitroの実験系におけるIGFのブタ顆粒膜細胞のsteroidogenesisに対する影響を検討した。neeclle agpiration methodにより顆粒膜細胞を採取し、DMEM(無血清)にて3×10^5viableccll/ivellとなるよう単層培養した。この培養系を用いて、IGFーI1000(1),100(2),10(3)ng/nl,IGFーII100(4),10(5),1(6)ng/mlの各濃度添加24時間後のmedium中のP,E_2濃度をcontrol群(100%)と比較した。medium中のP濃度は(1)318±38%(P<0.051)(2)316±35%(P<0.501)(3)213±27%(P<0.01)(4)226±21%(P<0.01)(5)160±27%(11.5)(6)78±6%(11.5)であり,E_2濃度は(1)184±25%(P<0.001)(2)270±29%(P<0.001)(3)203±19%(P<0.001)(4)211±7%(P<0.001)(5)114±4%(P<0.05)(6)107±4%(11.5)であったまたmedium中のcyclicAMP濃度は,(1)185±6%(P<0.01)(2)182±8%(P<0.01)(3)196±3%(P<0.01)(4)138±5%(P<0.05)(5)116±8%(11.5)(6)110±6%(11.5)でありIGFーI,IIとも,cyclic AMP依存性に顆粒膜細胞のP,E_2産生を促進することが明らかになった。なお,IGFーI,IIはともにブタ顆粒膜細胞の細胞内Ca^<2+>濃度に変化を与えなかった。
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