研究課題/領域番号 |
02670735
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鎌田 周作 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80169606)
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研究分担者 |
久保田 俊郎 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50126223)
麻生 武志 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60093176)
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キーワード | IGF-II / IGF-I / 顆粒膜細胞 / ステロイド産生 / 細胞増殖 / C-AMP / 細胞内Ca^<2+>濃度 / Autocrine調節 |
研究概要 |
平成3年度までに、ブタ顆粒膜細胞からの性ステロイド分泌に及ぼすInsulin-like growth factro-II(IGF-II)の影響、その細胞内情報伝達系の変動などについて探究した。ブタ顆粒膜細胞培養系において、IGF-IIは1〜100ng/mlの濃度で用量依存性にprogesterone(P)分泌ならびにestradiol(E_2)分泌を有意に促進した。またIGF-IIはブタ顆粒膜細胞において、1〜100ng/mlの濃度でcyclic AMP濃度を有意に促進した。しかしIGF-IIは、細胞内情報伝達系として細胞内カルシウム濃度〔Ca^<2+>〕^iと細胞内イノシトール燐脂質代謝系には影響しないことを示した。この結果、IGF-IIはA-kinase系を介してブタ顆粒膜細胞のsteroidogenesisに促進的に働くことが明らかとなった。 平成4年度にはさらに、この細胞培養系における^3H-thymidineのDNAへの取り込みに対するIGF-IIの効果について検討し、IGF-IIは用量依存性にブタ顆粒膜細胞のDNA合成を促進することとが証明された。以上の成績はHormone Research(1992)に掲載された。また、体外受精・胚移植時に採取したヒト顆粒膜細胞においても、IGF-IIは用量依存性にP分泌ならびにE_2分泌を有意に促進した。この際得られたヒト卵胞液中のIGF-IIを特異的なRIAにて測定すると、高濃度(663.8±87.3ng/ml)に存在し、同検体中のIGF-I濃度(75.9±6.7ng/ml)に比し有意な高値(P<0.001)を示した。卵胞液中のIGF-IIとIGF-I濃度の間には有意な相関がみられたが、同時に採取した血清中では両者に相関はなかった。また卵胞液中ではIGF濃度は、PやE_2濃度と有意な相関を示すことにより、ヒトにおいてもIGF-IIは顆粒膜細胞からのsteroidogenesisに深く関与することが示され、この結果はFertility and sterility(1993)に掲載される予定である。
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