研究概要 |
子宮頸部の発癌にhuman papillomavirus(HPV)の関与が指摘されて久しいが,その臨床的な意味についての検討は未だ不充分である。そこで,我々は、In vitro実験系で発癌に強く関与しているHPV16型E_6、E_7遺伝子領域の発現蛋白を患者血清及び腫瘍組織レベルでの同定を試みている。 方法としては、T_7 polymeraseにり誘導される発現ベクタ-にHPV16型E_6E_7遺伝子断片を組み込み,融合蛋白φ10ーE_6,φ10ーE_7及びprotein E_6,Protein E_7の4種類の蛋白を大腸菌内に発現させた。IgGセファロ-ズカラムよりproteinーE_6,proteinーE_7を精製抽出し,それぞれをウサギに免疫し,抗E_6,抗E_7抗血清を得た。φ10ーE_6,φ10ーE_7蛋白を抗原としたELISA法では高い抗体価を示した。これらの抗血清を用い,HPV16型E_6,E_7遺伝子により悪性化したラット細胞やヒト子宮癌由来のCaski細胞に対して免疫沈降法を行ったところ、E_6,E_7、それぞれの蛋白に特異的なバンドを検出し,蛍光免疫組織染色では、Caski細胞の核内及び核周辺に強い蛍光を強め,E_7蛋白を同定し得た。 以上の結果は,第50回、日本癌学会総会,第2回、婦人科DNAプロ-ブ研究会にて発表予定である。
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