研究概要 |
卵胞発育と共に活発な増殖,分化をとげる顆粒膜細胞の特能発現にはinsulin,insulin様成長因子(IGFーI),甲状腺ホルモンが卵巣でFSH作用のanrplifierとして働き重要な生理的役割をはたすことをすでに見い出した。今回は、上皮成長因子(EGF)に注目し,ブタ卵巣より得た顆粒膜細胞の増殖とproqesterone,estrodiol分泌に及ぼす影響を検討した。その結果、EGFは小卵胞由来の顆粒膜細胞の増殖を有意に促進するが,大卵胞由来顆粒膜細胞の増殖には有意な影響を与えず,また大卵胞由来顆粒膜細胞のestrodiol分泌を著明に抑制するが,逆にproqesterone分泌は著明に促進することを認めた。事実,^<125>IーEGF結合のCchatchard解析から,顆粒膜細胞にはEGF受容体が有在し,その受容体数は大卵胞由来の分化型顆粒膜細胞で大となる傾向を認めた。さらに、無血清培地下で5日間培養後の顆粒膜細胞培養液をSephadex Gー75カラムでゲル濾過も,EGF免疫活性の溶出パタ-ンをみた所,^<125>IーEGF溶出分画に一致してEGF免疫活性の溶出ピ-クを認め,顆粒膜細胞が自らEGFを産生,分泌することが明らかとなった。以上の知見より・EGFはautocrine系調節によって来分化顆粒膜細胞の増殖を促進する一方,大卵胞由来分化型顆粒膜細胞のestrodiol分泌を抑制し,proqesterone分泌を促進するという多面的な作用を持つことが示唆された。 他方,絨毛トロホブラストの増殖,分化とEGFの関わりでは,トロホブラストは自らEGFを産生,分泌すると同時にEGFに対する受容体を有し,EGFは極めて早期の妊娠4ー5週絨毛ではトロホブラストの増殖を促進するのに対し,妊娠6週以降ではhcg(α,β)_1bDLの産生,分泌を増加させ,トロホブラストの分化機能を促進するという2面的な生物作用を発揮することが明らかとなった。
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