研究課題
昨年度の研究において、内因性摂食調節物質である2ーbutenー4ーOlide(2B4O)が摂食調節ばかりでなく、視床下部ー下垂体系に対しても影響を及ぼし、下垂体からのゴナドトロピン分泌を抑制することにより性周期を抑制することを明らかにした。そこで本年度は主として2B4Oの視床下部ー下垂体系機能抑制の機序を検討した。ラットを用いた動物実験系を使用して、2B4Oを腹腔内、静脈内および脳室内に投与し、下垂体からのLHのパルス状分泌に対する影響を調べた。また2B4Oの摂食調節作用にCorticotropin Releasing Hormone(CRF)が関与する可能性が示唆されているので、本研究で明らかにした2B4Oの視床下部ー下垂体系抑制作用がCRFを介しものか否かを検討した。その結果、2B4Oは腹腔内、静脈内、脳室内のいずれの投与に関しても下垂体からのLHのパルス状分泌を抑制したことから、2B4Oは主として視床下部に働き、下垂体からのゴナドトロピンの律動的分泌を抑制することにより、視床下部ー下垂体系を抑制することが明らかとなった。またCRFアンタゴニストを用いた実験から、CRFアンタゴニストの添加の有無にかかわらず、2B4Oは下垂体からのLHのパルス状分泌を抑制したことから、2B4Oのゴナドトロピンの律動的分泌抑制作用はCRFを介さない直接作用の可能性が示唆された。以上から、内因性摂食調節物質である2B4Oは主として視床下部に作用して、下垂体からのゴナドトロピンの分泌を抑制することにより性周期を抑制すること、またその作用はCRFを介さない直接作用であろう可能性が明らかになった。
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