研究概要 |
1.子宮頸部腺癌株におけるHPV DNAの検出:子宮頸部腺癌株5株から抽出したDNAを用いてSouthern Blot法を行い、HPV18型とHomologyを有するDNAが4株にHPV DNAを検出できなかったものが1株にみられた。PCR法を行うことにより、検出されたHPV DNAがすべて18型であることがわかった。残り1株からはPCR法によってもHPV DNAが検出されなかった。 2.子宮頸部腺癌組織におけるHPV DNAの検出:子宮頸部腺癌24例のパラフィン包理標本からDNAを抽出し、PCR法を用いることにより、HPV DNA(6,11,16,18型)の検出を試みた。24例中6例(25%)にHPV16型が、3例(13%)に18型が検出された。HPV18型は腺扁平上皮癌で検出される頻度が高い傾向がみられた。 3、子宮頸部腺癌株のサイトカイン(TNFおよびIFNーγ)に対する感受性:細胞株5株中1株がTNFに,4株がIFNーγに高感受性を示した。1株のみいずれにも感受性を示さなかった。この株にはIにおけるHPV DNAの検索でHPV DNAが検出できなかった。 4、子宮頸部腺癌株の各種抗癌剤に対する感受性:検討した15薬剤(5ーFu,ADM,EpiーADM,ActーD,ACR,MMC,CDDP,CBOCA,VCR,VLB,VPー16,MTX,BLM,PEP,CPA)中複数株が高感受性を示したのはADM,EpiーADM,MMC,VLB,VPー16の5剤であった。この他に比較的高い感受性を示したのがCDDP,CBDCA,MTXおよび5ーFuだった。 5.子宮頸部腺癌株に対する抗癌剤の併用効果:従来の抗癌剤の併用では相加効果はみられるが相乗効果はみられなかった。一方、IFNーγと抗癌剤の併用では相乗効果のみられるものが観察された。またHPV DNAの証明ができなかった株はIFNーγ,TNFのみならず、従来の抗癌剤に対する感受性も低く、これに類する頸部腺癌の治療法の確立が新たな問題として提起された。
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