研究概要 |
1.子宮頚部腺癌株5株におけるウイルス学的検討およびサイトカインならびに各種抗癌剤に対する感受性の検討。 子宮頚部腺癌に対し、インターフエロンγ(IFN-γ)が有効であること、抗癌剤の中ではエトポシド(VP-16),マイトマイシンC(MMC)が特に有効であることがわかった。また、HPVDNAの検索では腺癌株5株中4株にHPV18型が検出されたが、残り1株にはHPVDNAが検出できなかった。p53遺伝子の検索で、HPVDNAが検出できなかった1株にのみ、点突然変異が証明された。 2.パラフィン包埋子宮頚部腺癌組織からのDNAの抽出と、PCR法によるHPVDNAの検出。 この方法により、子宮頚部腺癌の29%にHPV16型DNAが、17%にHPV18型DNAが証明された。 3.1で得られた結果をもとに、ヌードマウスを用いたin vivoの実験系におけるIFN-γおよびVP-16、MMCの抗腫瘍効果の検討。上記3剤の内の2剤併内により、充分な抗腫瘍効果が得られることが証明された。特に3剤を併用すると、最も強い抗腫瘍効果が得られた。 4.臨床応用。 IFN-γは現在のところ、まだ臨床で使用できないため、この薬剤のかわりにCDDPを加えたMMC+VP-16+CDDP(MEP)の3剤併用で、臨床応用を開始している。この方法により完全寛解が得られた症例もある。
|