GnRHがラット卵巣に対して作用を有し、卵胞発育や排卵などの卵巣機能に関与することを示唆する報告がある。しかし、そのGnRHの産生部位、産生細胞については未だ不明の点が多い。平成2年度では、ラット卵巣でGnRH遺伝子が発現することを明らかにしたが、今年度はGnRH遺伝子が、卵胞発育通腔でどのように変化するか検討した。 4週令の幼若ラットにPMSGを投与し、投与前後の卵巣からそれぞれmRNAを抽出した。すでに我々が作成したプロ-ブを用いてNortherblotを行なったところ、投与前ではバンドが認められなかったの対して、投与48時間後では約700bpの位置に単一のバンドが認められた。さらに、同様に処理した卵巣で、in situ hyhridization を行なったところ、投与前では銀粒子の集程が認められなかった。一方、投与後48時間後の卵巣では、顆粒膜細胞に著明な銀粒子の集程が認められ、ラット卵巣におけるGnRH産生細胞が髄粒膜細胞であることが示唆された。 以上の成績に基づき、さらに排卵期から黄体期にかけての遺伝子発現の変化について検討しているが、結論に至るような結果はまだ得られていない。 さらに、卵巣で認められたGnRHmRNAの大きさは約700bpで、視床下部のそれの約500bpと異なることが判明したため、この機序を解明するために、cDNAクロ-ニングを含めた解析をすることを検討中である。
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