研究概要 |
子宮内膜癌に発現される腫瘍関連抗原をモノクロ-ナル抗体を用いて検討したがその結果ムチン性の糖蛋白質に子宮内膜関連腫瘍抗原が発現していることが解った。 このムチン性糖蛋白を糖鎖部分とペプタイド部分に分け構造の検討を行った。 その結果糖鎖部分について各種の糖鎖を認識するモノクロ-ナル抗体を用いて検討した結果Le x,Le y,Le a,Le b,H等のfucoseを含む糖鎖抗原がムチン性糖蛋白に表現されていることがわかった。これらはいずれも血液型抗原糖鎖の基本骨格GalーGlcNAcにfucoseが多数付加した構造であり子宮内膜癌の糖鎖合成の経路が基本骨格の伸展もしくはpolyfucosylationにあることが解った。そこでこれらの糖鎖の担体となっているペプタイド部分に付いて解析を進めた。 子宮内膜癌培養株の培養上清を硫酸アンモニュウム33%沈澱にてムチン性糖蛋白を集めた。更にこれを以前に樹立された子宮内膜癌のムチンに特異的に反応しpolyfucosyl type IIに反応することが解っているモノクロ-ナル抗体C12を用いたimmunoaffinity columnに加え作成し更に逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィにて精製した。その結果モノクロ-ナル抗体C12に反応する単一のピ-クが得られた。 このピ-クをアミノ酸シ-クエンサ-にかけたところNーterminalから20個のアミノ酸がIEPMPQWWRVVVKFFANWYWと判定された。 このシ-クエンスはいままで知られているものの中には含まれていなかったが、このシ-クエンスから考えられるヌクレオチドシ-クエンスの一つはPancreatic elastase IIIと非常に高いホモロジ-を有していた。
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