研究課題/領域番号 |
02670759
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中野 雄一 新潟大学, 医学部, 教授 (80018316)
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研究分担者 |
佐藤 弥生 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (80196279)
高橋 姿 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (10154824)
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キーワード | 中耳真珠腫 / 乳突蜂巣 / 耳管機能 / 鼓室形成術 / 乳突充填術 / ハイドロキシアパタイト / 再発性真珠腫 / 滲出性中耳炎 |
研究概要 |
一般に中耳に慢性炎症性疾患をもつ側頭骨では含気蜂巣の発育が抑制されているが、とくに中耳真珠腫では他に疾患の比して抑制が著しい。そして、その強い抑制には乳幼児期の中耳炎が遠因となっていることが臨床的、実験的に推定された。このことは中耳真珠腫ではその蜂巣発育期に耳管の中耳換気能が不十分で慢性的換気障害が存在していたと推定される。この換気能低下が中耳真珠腫成立後もそのまま持続すると、耳手術を施行しても真珠腫を再び形成する要因となるものと考えられる。 臨床における中耳真珠腫症例に対しては真珠腫の再発防止に主眼をおいて、乳突充填術を加えた鼓室形成術を行ってきた。これは中耳根治手術に準じた乳突腔削開術により病変を完全に除去した後、その清掃腔を充填するものである。充填により術後の中耳腔は縮小して耳管の換気能に対する負担は軽減する。その結果、真珠腫の再形成を予防することになる。この術式の成績は現在のところ良好で再発はない。また聴力成績も従来の術式に比して遜色ない結果を得ている。しかし長期観察による成績収集は重要であろう。 充填材料としては初期には自家骨骨片を用いたが、採取量の不足や再吸収といった問題が生じることがあるため、骨組織の無機質成分よりなるハイドロキシアパタイトの顆粒塊も使用している。現在のところこれによる異物反応など不都合な症状、所見は経験していない。またモルモットの側頭骨骨胞にハイドロキシアパタイトを充填する実験においても優れた組織親和性、骨癒合性を確認できた。
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