研究概要 |
従来の滑動性眼球運動(PS)の検査法では、周波数、振幅、予測性に依存し眼球運動の利得が変化すること。また自発眼振、注視眼振が存在する場合、誘導波形に重複し、PSの障害か眼振による影響か判読出来なかった。我々は、昨年研究費を得てRashbass(1961)の方法に従い不連続な動き(step)刺激、続いて緩徐な動き(ramp)刺激をランダムに制御し、これによりopen loop conditionによる滑動性眼振運動刺激装置を開発した(第47,48,49回日本平衡神経科学会発表)。本年度は光フィイバ-式超低雑音ENGシステムを開発しPSを検討した。これは電極からの出力を光ファイバ-ケ-ブルでレコ-ダ-部へ伝送し、AC100Vを電源に用いる他の機器から完全に絶縁し雑音の混入を防止した。そして電極からの信号を2万倍に増幅した。 結果 正常者、注視眼振のある末梢障害患者では明らかに視標を促えておりPSは正常であった。注視眼振を認める中枢障害患者では明らかなPSは記録されず、急速眼振運動のみで視標を把える所見であった。 コメント ステップ・ランプ刺激法によるPSの検査で自発、注視眼振が存在するにもかかわらず波形には重複せず、末梢、中枢疾患のPSを鑑別出来た(第49回日本平衡神経科学会)。しかし誘導は皮膚電極を用いるため感度を増幅するための交流の混入が増し現在赤外線で眼振運動を記録する装置を開発中。また分析対象が100msのオ-ダ-であることより、電算機による分析が必須と考えられ、次回研究費を得てこの検査を完成したい。
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