研究概要 |
レ-ザ-スペックル法によるブドウ膜血流測定機の基礎的特性をin vitro及びin vivoで検討した。 in vitroでの性能確認としては、一様な乱反射面をもつ灰色の円盤を定速で回転させ、これを測定した。測定値は測定面の運動速度と未稍循環の計測に必要な範囲で比例した。この過程で、測定値の直線性が得られる範囲が相対的なスペックルサイズ、即ち眼底カメラレンズの開口数と倍率、CCDの画素数に依存することが示された(応用物理学会秋季講演会、1990年,盛岡;眼光学学会,1990年,東京)。 in vivoでの測定は白色家兎眼虹彩に対して行なった。まず正常眼を測定し、変動係数5%、再現性11%と、安定した測定が可能であることを確認した。ただし、測定結果は瞳孔径に依存して変化し、虹彩組織の厚さや瞳孔に対する神経刺激の影響など、種々の要素が測定値に影響していることが推定された。次いで、副交感神経ムスカリン受容体刺激剤であるピロカルピン製剤について、投与前後での測定を試みた。対照眼に対し5%の測定値の増加を得た。これはピロカルピンが虹彩血流を増加させるという従来の知見と一致し、このことから本法が虹彩血流に関して充分な感度を持つことが示唆された(日本眼科学会総会、1990年,岡山。) ここで、ピロカルピン投与前後の血流の増加量に一部従来の知見と一致しない点があり、in vivoでの血流量と測定値の直線性、線形性については、他法との比較によるなんらかの校正が必要であることが判明した。このため、既に確立された血流測定方法であるマイクロフェア法との同時計測を計画し、予備実験を開始した。
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