研究概要 |
目的:実験的ぶどう膜炎における抗炎症剤の抑制効果を調べる目的で,プロスタグランディン(PG)関与性であるとされているエンドトキシン惹起性の実験的ぶどう膜炎を家兎眼において作成して,抗PG作用を示すアスピリン静注剤の抑制効果をプレドニソロンと比較した. 方法:成熟白色家兎眼の硝子体内にエンドトキシン(lipopolysaccharide,E.Coli)0.1ml(20μg)注入して16時間後に眼球摘出を行い,虹彩のmyeloperoxidase(MLO)を測定して,これを炎症の指標とした.抗炎症剤投与にはエンドトキシン硝子体注入直前にアスピリンDLーリジンまたはプレドニソロンを静注した.薬剤非投与群,アスピリンDLーリジン投与の3群(25mg/kg,50mg/kg,100/kg),プレドニソロン投与の3群(0.5mg/kg,1mg/kg,2mg/kg)における虹彩のMPO活性を比較した. 結果:生理食塩水注入眼の虹彩ではMPO活性は無かった.エンドトキシン注入眼の虹彩のMPO活性は著明に増加し,2.9×10^<ー2>U/mg proteinを示した.50mg/kg以上のアスピリン投与群,1mg/kg以上のプレドニソロン投与群ではMPO活性は約15%までに抑制された.アスピリン投与群とプレドニソロン投与群では有意の差はなかった. 結論:アスピリン静注剤のエンドトキシン惹起による眼炎症に対する抑制効果が確かめられた.エンドトキシン眼炎症にはPGが主要な役割をしていると考えられた. その他の結果:エンドトキシン惹起の眼炎症の虹彩では,MPOは増加したが,過酸化脂質は増加しなかった. 研究中の課題:S抗原によるぶどう膜炎における,MPO活性,過酸化脂質,および薬剤の抑制効果については現在,検討中である.
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