研究課題/領域番号 |
02670788
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三嶋 弘 広島大学, 医学部, 助教授 (20034100)
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研究分担者 |
広田 篤 広島大学, 医学部, 助手
古本 淳士 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (80238691)
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キーワード | cyclic AMP系 / プロテインキナ-ゼ C / イノシト-ル燐脂質代謝回転系 / 情報伝達系のクロ-スト-ク / 培養毛様体上皮 |
研究概要 |
毛様体上皮細胞には、これまでにcAMP系とイノシト-ル燐脂質代謝回転系の、少なくとも2つの細胞内情報伝達系が存在することが指摘されており、眼圧調節機構との関係が注目されている。この2つの情報伝達系の相互作用を調べるために、培養家鶏胚毛様体上皮細胞を使用して、イノシト-ル燐脂質代謝回転系に影響を与える薬剤がcyclic AMP産生系(cAMP系)にどの様な影響を及ぼすかを検討した。 培養毛様体上皮細胞を、プロテインキナ-ゼC(PKC)を活性化するホルボ-ルー12ーミリステ-トー13ーアセテ-ト(PMA)、あるいはPMAとPKCの阻害剤であるHー7で前処置した後、cAMP系を活性化するイソプロテレノ-ル、フォルスコリン、及びNaFで刺激し、cAMPの産生量をラジオイムノアッセイ法で測定した。培養細胞をイソプロテレノ-ル、フォルスコリン、及びフッ化ナトリウム(NaF)で刺激すると、cAMPは著明な増加を示した。200nMのPMAで前処置した後イソプロテレノ-ルで刺激すると、cAMPの増加はイソプロテレノ-ル単独刺激の場合に比べ約42%有意に抑制された。50uMのHー7と200nMのPMAを組合わせて前処置しイソプロテレノ-ルで刺激すると、cAMPの増加はわずかな抑制にとどまった。一方、200nMのPMAで前処置した後フォルスコリンで刺激すると、cAMPの増加は約12%抑制された。200nMのPMAで前処置した後NaFで刺激すると、cAMP量の増加はほとんど抑制されなかった。 これらのことから、培養した毛様体上皮細胞のcAMPとイノシト-ル燐脂質代謝回転系には相互作用が存在することが推測され、PKCの活性化でcAMP系が抑制される可能性が示唆された。その作用点の一つとして、βーアドレナリン受容体が考えられた。
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