研究概要 |
目的:大脳損傷に起因した色覚異常,とりわけ言語に関与しない大脳性色覚異常の病態研究は,色の認識が一定の大脳領域で行なわれている可能性を示唆する。本研究では,新たに製作したパソコン使用の色弁別反応時間測定装置を用い,視野の各象限に呈示した色発光ダイオ-ドを認知する時間を測定,デ-タ処理することによって色認知の特性ならびに左右半球の優劣を検討する。 方法:色の呈示は,黒板の中心に固視および予告用の発光ダイオ-ドを組みこむとともに,各象限の10°,20°,30°に2色発光ダイオ-ドを装着した。測定は,正常人を対象とし片眼を遮閉,被験者が指定された色を認知したら直ちに押しボタンを押す方法によった。眼球運動を考慮し,呈示時間は短い。コントロ-ルとして,色を指定せず点灯したら押すことによって得られた単純反応時間を用いた。以上,いづれも右手と左手の両方行なった。 結果:反応時間は,色弁別というtaskを課すと,コントロ-ルに比較し明らかに遅延した。色弁別反応時間は,10°→20°→30°と遅延し,30°では誤認が多かった。右手と左手による相異は,コントロ-ルではほとんど認めないが,色弁別の場合は右手による反応が遅かった。 結論:以上のデ-タは,色認知機構の存在と右半球優位性を示唆する。 研究の継続:より効率的に実験を遂行するべく,方法を改良した後,さらに上述の結論の妥当性を追及している。
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